フィリピン留学 番外編コラム ~フィリピンの貧困と現実~

フィリピン留学 番外編コラム

~フィリピンの貧困と現実~

フィリピン留学の専門エージェントのスタッフがフィリピンの情報を発信!

2回目は、「フィリピンの貧困と現実」です。

「貧困問題はアフリカが抱えているイメージ」

「アジアの貧しい国の問題でしょ?」

実は発展途上国も、もちろん先進国も、色々な国が抱えている問題なのです。

日本も例外ではありません。

なぜこの「貧困」について今回とりあげたのか?

それは、第1回目「フィリピン巨大選挙」のコラムを作成する上で、

「貧困」という文字を目にすることが多かったからです。

1回目同様に、少しでもフィリピンに興味・関心を持ってもらえるような記事を書いて、

皆さんにお伝えしたいと思ってますので、よろしくお願いします。

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目次

大統領選の投票日に起きたことと・・・


 投票日の2016年5月9日、フィリピンでは投票所に対する銃撃が相次いで

なんとフィリピン全国で10人が死亡するという事態になりました。

そんなこと日本では考えられませんが、

現実にこのようなことが起こっている国があるということを、

皆さんにも知ってもらいたいです。 

前ダバオ市長であり、現フィリピン大統領のロドリゲ・ドゥテルテ

過激な発言とダバオ市の治安改善で支持を集めた「フィリピンのトランプ氏」とも呼ばれている彼。

フィリピンは投票率が80パーセントを超えるほど投票率が高く、若者の政治関心も高いです。

個人的な見解ですが、その破天荒なキャラクターが人気で、投票できる有権者の若者たちから支持を集めたのでは?

とも考えられます。

中国との領土問題や国交問題。

これからフィリピンの色々な問題をドゥテルテ氏がどう政治していくのか注目ですね。

その過激な破天荒なキャラクターを貫くのか、または、逆に冷静な対応力を発揮させるのか。

「国交問題は慎重に真面目にやってほしい」

「過激のままでいてほしい。どっちにかける?」と日常会話の話題にするのもまた、政治の楽しみ方ですね。


大統領選から見えた貧困問題


冒頭でお伝えしましたが、フィリピンの選挙について調べている内に「貧困」という文字を多く見かけることがありました。

と同時に、今まで私が行ったことのあるタイ、香港、インドなどでも、物乞いをする老婆や子ども、

体の不自由な人たちをたくさん見てきたことを僕は思い出しました。

日本では見かけることも少なく、考えられない。

でもこれが現実。

1998年に大統領に就任したエストラダ氏は「貧困のための政治」を訴えて勝利。

庶民派俳優から大統領になった「貧困層のスター」でした。

このように過去の大統領から見ても、選挙における貧困層の力はあなどれない、ということを示しています。

では今回当選したドゥテルテ氏が「貧困層のスター」であるのか?

残念ながらそうではありません。

でも、今回の候補者の中にも貧困層の中から支持を集めていた人がいました。

それは、現副大統領として出馬したビナイ氏でした。

フィリピンは1割程度の富裕層、3割程度の中間層、そして残りは貧困層と言われています。

つまり、近年のフィリピンの選挙では、貧困層向けに何をどう訴えていくのか、という流れがあったようです。

そこで今回はそのビナイ氏自身が貧しい生まれだとして、「貧困のための政治」を詠っていました。

税収を元に教育と医療の無料化、高齢者福祉の充実、月収3万ペソ以下の中低所得者への税金無償化などを

フィリピン全国で実施するとのことでした。

しかし、支持率20パーセントに届かず、大統領の席を勝ち取ることはできませんでした。

なぜ支持率が伸びなかったかというと、

支持がマニラ首都圏でとどまってしまっていたことと

「貧困のための政治」が貧困層から飽きられてしまっていたのではないかということが予測されます。

また、ビナイ氏は86年からずっと政治の表舞台に立っていた人間なので、

新しい人を世間が求めていたのでは、という見方も。

つまり、政治にも「流行り」があることをここから学べます。

しかし私は、「貧困問題」というのは一時的な話題で終わらせてはいけない、

国として早急に解決しなければならない

重要な課題なのではないかと思うんです。

日本人である私が物乞いの人をたくさん見てきたから?

日本は豊かな国だから?

ただのお節介な思い?

安易な気持ちで語ってはいけない問題であるとは思います。

でも、ここフィリピンの未来を担うのは、その小さな体で物乞いをしている子どもたち以外の何者でもないのですから。

 


フィリピンの貧困と現実


では、フィリピンは実際にアジアの中でどのぐらい貧しいのでしょうか。

フィリピンはアジアの中だと10位であり、まだまだ貧しい国はたくさんあります。

フィリピンは、ここ近年の経済成長率が伸びており、

今後経済大国として成長する可能性があると言われています。

しかし、一日1ドル以下で暮らしている人々も多いのが現実です。

そして、日本とは真逆に、出生率が3割を超えています。

それは、低所得で大家族が多いということを表しています。

そのため、スクワッターと呼ばれる不法占拠エリアがたくさんあり、

学校にも行けずに、路上で物売りや物乞いをしながら生活している子どもが増加の一途を辿っています。

ストリートチルドレンと呼ばれる子供達のことです。

さらに、産業が発達しておらず人口に見合うだけの職が不足している現状で、

定職に就ける人はごくわずかなのです。

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「スモーキーマウンテン」(※現在はありません。)というのを一度耳にしたことはありますか?

私は今回色々調べていて、そうかフィリピンのことだったのか、と思い出しました。

遠目から見るとただの山。

でもそれは富裕層の人々が捨てたごみが積もりに積もったものだったのです。

36メートルもあり、そのごみが発酵してメタンガスが発生するのです。

そのガスが絶えずモクモクと煙になっているため、「スモーキーマウンテン」と呼ばれていました。

貧困層の人は、富裕層の人々が捨てたごみを拾い、それを売って生活していました。

いち早く良いものを拾うために、貧困の人たちが集まって、世界最悪の住環境のスラム街となりました。

その山の頂上は、ごみが腐葉土化して緑が広がっているというなんとも不気味な状態。

鼻が曲がりそうな臭い。

頂上にたどりつくまでには何度も足元から汚水がじゅわっと出てきます。

それでも子どもたちは、そこを裸足でごみを求め歩き回る。

その「スモーキーマウンテン」は大統領の命令で解体されました。

フィリピンの貧しさの象徴とも言える山がなくなりました。

そこのスラムにいた人々は解体後にどのような暮らしをしていたのだろうか。

大きな自然災害や戦争があったとき、

人々はそれを「忘れてはいけない」「後世に引き継がなければならない」として、歴史が生まれます。

まさにこの「スモーキーマウンテン」はフィリピン人にとって、

それを知っている各先進国、経済大国の人は忘れてはいけないことだろうと私は思います。

 


豊かさや幸せって?


豊かさとか幸せってなんでしょう?

海外に行くと、なんて日本は豊かなんだろう、平和なんだろう、

何でもない日常が幸せなんだと、思ったことのある人が多いはず。

物乞いをしている人に出会い、自分は何ができるのか?

本当に無視しなきゃだめなのか?

そういう葛藤が生まれたことがあるはず。

でもこれが現実です。

世界です。

裕福な人と貧しい人がいます。

でも、食事して、排せつして、寝て、を繰り返す同じ人間です。

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裕福か貧しいか、その基準は誰が決めるのでしょう。

「フィリピンは貧しい。日本は裕福」

でもそれが本当に豊かだと言えるのでしょうか。

フィリピン人は明るい性格で、いつも笑顔に溢れていて、家族を大切にします。

それは他人と比較しないフィリピンのすばらしい国民性であるからです。

自ら積極的に人生を楽しもう、幸せになろうと思って生きています。

日本が忘れかけているものをフィリピンはずっと大事にしてきているのかもしれません。

そんな素敵な国民性を持つフィリピンの格差問題、貧困問題が少しずつなくなること願っています。

僕は今回この記事を通して、フィリピンの貧困について情報を発信することができたことを光栄に思います。

皆さんも何かを感じてくれたら嬉しいです。

それではまた、次回お会いましょう!

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